見出し画像

【公民連携】アイリスオーヤマ(株)と取り組む防災対策

このシリーズは?
「人と企業に選ばれるまち」を目指す裾野市が、連携協定を締結している企業や団体との取り組みについて発信します。


©︎アイリスオーヤマ(株)

新富士裾野工業団地にあるアイリスオーヤマ富士裾野工場

令和5年に操業を始めたこの工場は、富士小山工場に続き国内2カ所目となるアイリスオーヤマ(株)の飲料水生産拠点です。

https://www.irisohyama.co.jp/news/2023/?date=0130

アイリスオーヤマ(株)は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災で被災しました。

宮城県にある工場は大きな被害を受け、各地で大規模な断水が発生しました。

この震災の経験から、アイリスオーヤマ(株)は首都直下地震や南海トラフ地震のような大規模災害時に、被災地に飲料水を届けるため飲料水事業に取り組んでいます。

「10年前に東日本大震災が発生し、本社が宮城県にある当社も被災企業になった。震災被害の中で大きな問題があったのがインフラのストップだ。特に水は、断水が大規模に発生した。生活水がなく、たまたまスポーツセンターにあったプールの水を使ったり、多くのお客様がホームセンターでお水を買われるということが発生した。そういった意味で、震災の初動の対応として飲料水の確保は非常に大事になってくる。これに対してアイリスオーヤマとして何ができるのかを考えた。」

(食品産業新聞社ニュースWEB(2021年2月18日))

アイリスオーヤマ(株)の大山晃弘社長は下記のネットニュースで話しています。

能登半島地震は石川県を中心に大きな被害をもたらし、発生から2カ月経った今でも断水している地域があります

企業連携で取り組む今回のテーマが防災対策です。
裾野市に工場を立地したアイリスオーヤマ(株)との連携について、「防災」という視点から取り上げます。

今回は、裾野市の政策を担当する戦略推進課企業誘致を担当する渉外課防災を担当する危機管理課の3人の職員に話を聞きました。

【包括的な視点】裾野市との連携について

裾野市とアイリスオーヤマ(株)は包括連携協定を締結しています。

はじめに、裾野市との連携について、戦略推進課の根上主幹に話を聞きました。

戦略推進課 根上主幹

【根上主幹】

令和5年7月20日、富士裾野工場の本格稼働に合わせて、包括連携協定を締結しました。

令和5年7月20日、包括連携協定を締結
左:アイリスオーヤマ(株)大山晃弘社長
右:村田悠市長

この協定は、市とアイリスオーヤマ(株)が相互に連携と協力を行い、「人と企業に選ばれるまち」づくりに向けて、分野ごとの社会課題の解決や地域経済の活性化に繋げることを目的としています。

協定に基づいて行う取組みの中で主に力を注いでいくのは、防災減災に関すること脱炭素化など環境に関すること産業観光に関すること教育環境に関することです。

アイリスオーヤマ(株)の持つリソースやアイデアは、新しい技術を取り入れてどんどん未来に向けて進んでいますので、このようなリソースやアイデアを活用しながら、「人と企業に選ばれるまち」づくりを進めていきたいと考えています。


【企業誘致からの視点】アイリスオーヤマ(株)が裾野市を選んだ理由

次に、アイリスオーヤマ(株)が裾野市に工場を立地した経緯について、裾野市で企業誘致を担当する渉外課の長澤主事に話を聞きました。

渉外課 長澤主事

【長澤主事】

アイリスオーヤマ(株)は富士小山工場で稼働している飲料水製造事業の拡大を検討していたようです。

裾野市では、令和4年度に企業立地方針を策定し、企業誘致等を通じて、魅力ある雇用の場や就業機会を創出し、定住人口の維持・拡大を図ることを掲げました。

アイリスオーヤマ(株)新工場の立地は、就業人口の増加など、地域経済への好影響が期待できると考え、市長のトップセールスや企業立地ワンストップサービスを展開しました。

このような施策の展開が、アイリスオーヤマ(株)の裾野市への進出意欲を後押しした、と感じています

裾野市の魅力の一つに富士山の眺望が挙げられます。

アイリスオーヤマ(株)大山会長は、実際に裾野市に足を運ばれた際に、進出に意欲的になったと伺っています。

「飲料水製造事業を拡大させたい」というアイリスオーヤマ(株)の想いと、「企業を誘致して地域経済を活性化させたい」という裾野市の想いが見事にマッチングした結果、富士裾野工場を立地したのだと思いました。

アイリスオーヤマ(株)と立地協定を締結へ向けて調整している際に、防災に力を入れていきたいとの申し出を頂戴したことから、「災害時における物資供給に関する協定」も同日締結する運びとなりました。

富士裾野工場の内部の様子

【防災対策からの視点】自然災害に備える事業展開

アイリスオーヤマ(株)の飲料水製造事業の根底には、「南海トラフ地震などの自然災害に備える」という想いがあります。

東日本大震災で被災したアイリスオーヤマ(株)は、その経験を活かして全国各地で地域貢献や地方創生に関する活動を行っています。

裾野市とアイリスオーヤマ(株)は協力して避難所や救護所などに優先的に供給する「災害時における物資供給に関する協定」を締結しました。

この協定の締結について、危機管理課の永田主幹に話を聞きました。

危機管理課 永田主幹

【永田主幹】

裾野市では、市内に11ヶ所ある指定緊急避難場所(※)等を中心に防災倉庫を設置し、避難所で使用する資機材や水・食料を備蓄しています。

※災害の危険から命を守るために緊急的に避難する際の避難場所として位置付ける場所。

防災倉庫の中の点検

しかし、防災倉庫のスペースには限りがあります

また、使用切れ・消費切れの物資の廃棄や更新には負担もあります

地元企業などと防災協定を締結することで、ストックを抱えることなく、災害時に必要な物資を円滑に届けてもらう体制を確保することができます。

「備えあれば憂いなし」のことわざ通り、大規模災害が発生した際に、被災した経験のあるアイリスオーヤマ(株)から支援や協力を受けられることは、本当にありがたいことですし、市にとって大変心強いことです。


連携による防災力・減災力の強化

市長戦略の中で、「避難所等でも安心して過ごせる環境の整備」を重点目標に掲げています。

市長戦略から抜粋

東日本大震災、能登半島地震の被害状況等を見ると、災害が起こる前、起こった後、さらに時間が経過した後では必要なモノ、コト、ヒトは違っていますし、平常時から防災を意識する地域づくりの重要性は言うまでもありません。

自主防災組織や企業と連携することの意味を改めて感じ、今後も実践的な訓練は継続しなければと思います。

被災したからわかること……

アイリスオーヤマ(株)の持つ災害に対するノウハウや強みが、裾野市の防災減災の取り組みに活かされることを期待しています。

企業誘致が経済活性の側面だけでなく、防災へ、地域づくりへつながると確信しました。


この記事を書いた人

■戦略推進課 根上奈緒
いろいろな企業と締結した包括連携協定が色あせないようにしていきたいです。

■渉外課 長澤怜志
企業誘致のため、営業スマイルで日々奔走中です!

■危機管理課 永田隆之
「家が古くても一人暮らしだから……」と思っていましたが、自分も備えが足りないことを自覚しました。自宅の耐震診断を受けてみようかなと思っています。

■情報発信課 安倍健
情報発信課1年目の新人広報職員です。
「文章を書いては白紙に戻してやり直し」を、8回、繰り返しました。
締切厳守で「想い」を伝えられる記事が書けるよう、日々精進しています。


この記事へのご意見はデジタル目安箱からお知らせください。