【広報すその編集後記】2024年6月号
表紙の写真
深良用水まつり
表紙の写真は5年ぶりに開催された深良用水まつりです。
地域の行事が戻ってきました。深良用水通水354年をお祝いして、4月28日(日)に行いました。晴天のもと、仮装行列は松壽院から深良グランドまでの約1.5キロ。大庭源之丞や友野与右衛門、農民や早乙女などにふんした地域住民は約100人でした。沿道の皆さんからは拍手や歓声が上がり、大変盛り上がっていました。
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特集 大雨による土砂災害に備える
6月は「土砂災害防止月間」について掲載しました。土砂災害に関する防災気象情報を再確認することも含み、4月から防災を担当している危機管理課の田代主査に話を聞きました。
ーー市内の危険個所はハザードマップで確認できますが、市民の皆さんはどのように活用すればいいですか。
まずは自分の住んでいるところがハザードマップ上でどのような区域になっているかを確認しましょう。浸水想定区域や土砂災害想定区域(色や斜線の表示)になっている人は注意が必要です。状況によって避難指示が出ますのでいつでも避難できる準備をしておく必要があります。
また、住んでいるところが対象地域でない人も普段使っている移動経路が被害想定区域になっていないか見てみるといいですね。移動中に土砂災害に巻き込まれることも考えられますから、住んでいるところが安全だからと安心せずに、自分の行動範囲の防災についても考えほしいですね。
それらを踏まえて、避難場所や避難のタイミングを決めておくといいですね。静岡県では「わたしの避難計画」、通称「わたひな」の作成を推進しています。何が起きたらどうするというのをあらかじめ決めておき、いざというときに備えましょうというものです。ハザードマップを見ながら家族で話し合って作成し、避難指針を決めておくと安心です。
ーー6月2日(日)に桃園地域をモデルに土砂災害の訓練を行いました。今回の訓練はどのような想定で行われましたか?
大雨による土砂災害警戒情報が発令されたため、桃園地区に避難指示が出たという想定で行いました。桃園区の指定避難所は西小学校ですが、大雨の影響で黄瀬川が増水し、花園橋が通行不能になっているという条件も付け、桃園区の集会所に避難を行うことにしました。
ーー訓練には何人くらいが参加されましたか?
今回の訓練の参加者は約100人でした。お子さんも何人か参加していました。この数字を見て少し少ないんじゃないかと思う人もいると思います。これには理由があるんです。
今回の特別な取り組みとして、訓練に参加する住民を区民全員ではなく、土砂災害や浸水害の危険区域に住んでいる人に絞りました。土砂災害や浸水害は区の中でも危険個所に住んでいる人は避難が必要ですが、危険箇所から離れている人は避難の必要はありません。
避難指示は地区ごとに出ますので、対象世帯がどうしても大きくなってしまうのですが、そうすると無駄な避難というのが出てしまうんですね。危険区域ではないのに避難所に来ることも過去の大雨の時に他市では事例があったようです。
今回の訓練にあたり、区長さんや自主防災会長さんにお願いをして区の地図に班や組ごとの区分けをしていただきました。その情報をもとに危険箇所に該当する区民の人にだけ区の放送設備を使って避難の案内をしていただいたんです。その結果、本当に必要な人に対する避難訓練ができました。
ーー実際に訓練を行い、見えてきた課題などはありましたか?
危険箇所の現地確認は、市の職員も参加しましたが流石に地元の人はよく見ていらっしゃいますね。様々な意見が出て逆にこちらが教えていただくことも多かったです。また近所の人と意見を出し合うことは助け合い、共助の観点からもとても大切だと感じました。
逆にもう少し何とかしたいなというのが、デジタル化に対する格差だと思います。今回の訓練では「静岡県防災アプリ」の避難所支援機能を使った避難所への模擬チェックインのコーナーを設けました。あらかじめ、避難者の情報を登録しておけば避難所の2次元コードを読み込むだけでチェックインできる便利な機能があります。従来の書面記入による登録より避難者、避難所運営側、共にお互いの労力が減る画期的なものなのですが、参加者に高齢の人が多くて、あまり興味を持っていただけなかったんです。実際触ってみると決して使いづらくはないのですが、「スマホ」「ネット」「アプリ」という言葉が出てきた時点で、ああ自分には関係ないなとあきらめてしまう人が多かった印象です。
広報すそので紹介した通り、防災アプリのほかにも、災害の危険度が色で分かるキキクルなど便利なアプリやサイトがあるのですが、それに追いつけていない層があるというのは今後の課題です。
ーー土砂災害から身を守るポイントなどがありましたら教えてください。
先の話でも出ましたが、ニュースなどで静岡県は大雨になりそうだ、という情報が出た時にはキキクルを一度見てみてください。ご存じの通り、日本の天気は西から変わりますから、静岡県が雨予報ということは九州や四国は既に雨が降っていることが多いです。「赤」や「紫」の色があったら現地で大雨が降っているということ、そしてそれが翌日や翌々日に静岡県に来る可能性があります。静岡県の中でも静岡市や富士市などの状況を見て、判断の材料にしてください。
赤は高齢者等避難の色ですが、高齢者以外の人も状況によっては早めの避難を考えてください。紫になると避難指示が出ますから対象地域の人は避難をします。
避難指示がなくても、自主的に避難することも考えに入れて普段から心がけをしておくといいと思います。
ちなみにキキクルの色ですが「黒」は最高レベルの危険度です。災害が起こる可能性が極度に高まっているか、実際に災害が起きているときに表示されます。黒が出たら避難するのも危ないことがあります。絶対にその前に避難してください。
田代さんは、実際に発災した際などの要支援者、子育て中の人などの防災にも関心があり、そういう場面での避難所や対策についても今後取り組んでいきたいと話してくれました。
帯状疱疹ワクチンの接種費用の助成を開始
4月から帯状疱疹ワクチン接種費用が助成されています。担当の深澤主任保健師に話を聞きました。深澤さんは健康推進課の主任保健師で主に予防接種事業と母子保健事業を担当しています。
ーー帯状疱疹はどのような病気か教えてください。
帯状疱疹は、多くの人が子どものときに感染する水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。水ぼうそうが治った後にも、このウイルスは神経の中に潜んでいます。
このままでは悪さをしないのですが、ストレスや過労、病気、加齢など免疫力が低下した際に、再び活性化して帯状疱疹として発症します。
ーー主に誰がかかるのですか?
日本では、80歳までに約3人に1人が発症するといわれており、皮膚症状が治った後も、50歳以上の約2割の人に帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる長い痛みが続くことがあります。
また、一度発症し治癒しても、再発する場合もあります。
ーーどんな症状でしょうか?
帯状疱疹の症状としては、皮膚の痛み・かゆみ・違和感と水疱(水ぶくれ)がメインになります。皮膚の症状が神経に沿って帯状に起こるため帯状疱疹といいます。
ーー予防接種の重要性についておしえてください
帯状疱疹に対する予防法の一つにワクチン接種があります。
予防接種には、法律に基づいて市区町村が主体となって実施する定期予防接種と個人の判断により接種する任意接種があり、帯状疱疹ワクチンについては任意接種になります。疾患を防ぐ上でワクチンは有効な手段です。接種する際には医師とよく相談していただければと思います。
ーー予備知識などあれば教えてください。
帯状疱疹の発症には免疫力が関わります。免疫力を低下させない生活として、規則正しい生活を心がけましょう。具体的には、バランスの良い食事、適度な運動と睡眠です。よく聞くワードかもしれませんが頭の片隅に置いて過ごすだけでも生活が変わってきます。基礎疾患がある人も、きちんと通院しコントロールすることも大切です。いままで病気にかかったことのない人も、年に1回の健診で自身の健康を内側からチェックすることも良いですね。
深澤保健師は市の保健師になる前には、病院で看護師をしていました。小児病棟の勤務だった経験があり、優しい人柄で母子保健を担当している様子が微笑ましいです。
木造住宅耐震化プロジェクトTOUKAI(東海・倒壊)―ゼロ
耐震化プロジェクトTOUKAI0の担当は都市計画課の市川主席技師です。市川さんは1級建築士で、建築技師として業務に従事しています。住宅の確認申請や営繕業務を担当、民間企業での職歴もあり、様々な経験から多角的に後輩の指導などにもあたっています。市川さんに話を聞きます。
ーー木造住宅の耐震化プロジェクトは、無料の耐震診断が令和7年3月末で終了するということですが、このプロジェクトの概要を教えてください
平成7年に起きた阪神・淡路大震災では8割以上の人が建物の倒壊などによる圧死・窒息死が原因で亡くなりました。住宅の倒壊から一人でも多くの市民の生命(いのち)を守るため、平成13年度に、市と県が一体となり木造住宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-0」がスタートしました。
ーー対象はどのような建物ですか?
昭和56年5月以前に建てられた木造住宅(所有者、居住者)です。
ーー誰が診断をしていますか?
市が派遣する耐震診断の専門家「静岡県耐震補強相談士」(2名1組)です。
ーー耐震診断を行う重要性とはどのようなことですか?
住宅の耐震性を調べることが地震対策の第一歩です。
住宅の耐震性(住宅の強さや弱点)を認識し、具体的な対策を立てることです。
まずは自分の住宅、住んでいる住宅の耐震性を知ることが大事だと私は思っています。住宅の耐震性は住宅の強さだけじゃなく、自分の住宅の弱点を自分の中でしっかり認識してもらって、そのために自分が何をすべきなのかということを考えていただくことが重要だと思います。
耐震補強はやはりお金がかかりますので、すべてが耐震の対象で補強をやってくださいということではありません。自分たちにはできないと思えば、なるべく自分の寝るところから避難できる状態にするとか・・・そういったところからスタートすることなのではと思っています。耐震補強の工事以外にもできることはありますから。
ーー耐震診断はどのような流れで行われますか?
昭和56年以前に建てられた木造住宅は、市内に約2,900戸あり、そのうち耐震性が不十分とされるものが約1,400戸あると考えられます。
平成13年度から始まった無料の耐震診断は、今年度で終了します。
まだ受けたことのない人は、是非活用してください。基本的には専門家の方々が住宅の中を調べるので少なくても2時間ぐらいの所要時間が必要です。事前の相談にも対応しますので、不明なことはぜひ問い合わせてほしいです。
もっと伝えたい!記事
■すそのびと
塩﨑一生さんが全国ボーイスカウトで最高位となる富士スカウト章を受章されました。塩﨑さんは現在神奈川県内の大学へ市内の自宅から通学しているとのことで、帰宅後に取材させていただきました。 取材の前に理容師のお父さんにヘアセットしてもらったと嬉しそうに話してくれた様子が印象的でした。
活動を通じての振り返りや、今後の課題などにも着目した内容で話してくださいました。
この記事を書いた人
■眞田さおり
情報発信課で広報を担当しています。裾野の魅力を心を込めて伝えます。裾野のファンを増やしたい!
■今野功一
情報発信課で広報を担当しています。
裾野市の歴史を残す1枚を撮るために、シャッターを切りまくります。
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