【公民連携】あいおいニッセイ同和損害保険(株)の社員が、裾野市の課題解決に取り組んでいます
今回の公民連携では、あいおいニッセイ同和損害保険(株)との行政実務研修員の取扱いに関する協定について取り上げます。
あいおいニッセイ同和損害保険(株)との連携
あいおいニッセイ同和損害保険(株)のグループ会社である(株)あいおいニッセイ同和自動車研究所が市内に拠点があることから、裾野市とあいおいグループは以前から連携を図ってきました。
平成28年12月には、あいおいニッセイ同和損害保険(株)と地方創生に関するパートナーシップ協定を締結し、市の地域課題解決に向けて連携を進めてきました。
そして令和4年3月、あいおいニッセイ同和損害保険(株)と、業務実務に関わる派遣研修を行う社員(行政実務研修員)の受け入れに関する協定を締結しました。
このような連携事業の一環では、あいおいニッセイ同和損害保険(株)のデータ・デジタル技術などのノウハウや知見を活かし、地域独自の魅力や価値の向上、地域の活性化を図ることが目的です。
あいおいニッセイ同和損害保険(株)の取り組み
あいおいニッセイ同和損害保険(株)は「CSV×DX」(※1)を企業理念に掲げ、デジタル・データを活用して社会課題を解決するため、「お客さまとともにリスクを削減し社会課題を解決する保険へ」をスローガンに、新たな価値を持った商品・サービスの提供に取り組んでいます。
近年はデジタル・データの活用により新たな価値を持った保険事業を通じて、環境、防災・減災、健康・ヘルスケア、移動、物流といった分野における地域課題を解決し、安全・安心なまちづくりの実現を目指しています。
また、「地域密着」を行動指針の一つに掲げ、地方自治体や地域金融機関などと連携して、地域社会への貢献活動などを積極的に進めています。
行政実務研修員 鈴木毅さんの想い
令和4年4月から、鈴木毅さんが行政実務研修員として戦略推進課で業務に従事しています。
派遣されてからの取り組みの内容や、事業に込める想いについて聞きました。
■DATA
名前:鈴木 毅(すずき つよし)
所属:戦略推進課
キャリア:平成18年 あいおいニッセイ同和損害保険(株)へ入社、勤続年数17年(令和5年4月1日時点)
ーーこれまでのキャリアについて教えてください。
社会のチャレンジを支える基盤としての役割に魅力を感じて、損害保険業界へ入りました。
入社以来、営業部門で代理店等とともに、お客様へのリスクマネジメントを提案してきました。
最近は企業理念である「CSV(社会との共通価値の創造)×DX」をテーマに、デジタル技術を活用した社会課題解決を実現するため、事故の未然防止までも視野に入れた保険やサービスの販売を推進していました。
ーー現在、裾野市ではどのような事業に取り組んでいますか。
主な業務内容はカーボンニュートラルについての取り組みです。
令和3年度に裾野市はカーボンニュートラルシティを宣言しました。その実現に向けた具体的な道筋を示す「カーボンニュートラルシティ実現に向けたロードマップ」の作成に取り組みました。
環境を守る行動には色々なものがあります。
そのひとつが温暖化対策としての脱炭素の取り組みであり、脱炭素の結果として実現する望ましい状態がカーボンニュートラルです。
その過程では、エネルギー消費の効率化や、新技術の導入、森林の保護・活用、次代を担う若者の育成など、様々な取組みを行う必要があります。
こうした取り組みに対して、市民の皆さんや事業者の皆さんは様々な考えを持っているかと思います。このような考えや思いを直接聞き、想像し、全員で実現できるカーボンニュートラルの道を創り上げていくことに一番悩みました。
カーボンニュートラルのプロだと思われている方もいると思うのですが、私、そこまでカーボンニュートラルに詳しくないんですよ(笑)。
なので、裾野市に来てから、環境対策の内容や歴史などカーボンニュートラルに関するありとあらゆる知識や技術を勉強しました。
また、庁内・協力企業等を含めた勉強会で、裾野市の環境対策の実情について生活環境課の職員から聞いたり、協力企業から科学的な根拠を含めた知見をいただいたりして、カーボンニュートラルに関する知識を深めていきました。
カーボンニュートラルについて、まだどのようなことなのか知らない方が多いと思いますし、何が正しいのか分からない方もいると思います。
そのような中で、自分で学んだ知識や勉強会で議論したことが良い方向に跳ね返ってくることにやりがいを感じました。
今年度は、そのロードマップに従って、生活環境課を中心に、ロードマップをもとにした「すその de カーボン」つまり、CO2の見える化の実現に取り組んでいます。
まずは市役所の見える化をやってみよう、ということで、市役所の職員からデータを集めて見える化の実証を行っています。
ーーカーボンニュートラル以外に取り組んでいる事業はありますか。
そのほか、当社から提案させていただいた交通安全EBPM支援サービス(※1)の実証実験や、AIを使った橋梁点検サポートツール(※2)の共同開発にも取り組んでいます。
デジタル技術ってそれを使うことが目的みたいな感じになっていて、実際どうやって市民の方にメリットがあるのかが分からないのではないか思います。
交通安全EBPM支援サービスの実施に際しては、副市長から「住民生活の満足度向上に直結するようなデジタル技術の活用だから良いですね」と賛同していただいたのを覚えています。
ちなみに、AIを使った橋梁点検サポートツールの提案は菊地建設課長から最初の打ち合わせで一発OKが出まして、その場で「やろう!」ということになり、その時はこの期待に応えなければ、と強く感じました。
ーー市役所で働いてみて、「ここが民間企業と違う」と思うことは何ですか。
違いといえば、事業目的が異なることかなと思います。民間企業は「利益を上げること」が明確な目標の一つですが、市役所は「住民の幸せを突き詰めること」が目的だと感じます。
「住民の幸せ」は人によって捉え方が違うので、アプローチの仕方が難しいなと感じています。そこに対応していかなければいけない市職員は大変だと思うと同時に、すごいな、と思っています。
それから勝手な思い込みでしたが、職員が忙しく働いている中で、私の提案はあまり受け入れられないかな、と不安に思っていましたが、全く違いました。
カーボンニュートラルも交通安全EBPMも橋梁点検も、生活環境課・危機管理課・建設課・戦略推進課の職員の皆さんが非常に前向きな、「市民のために」という姿勢があって進めることができました。
これこそ、公民連携のあり方だという実感があります。
ーー裾野市役所はどのような印象ですか。
新しいものを取り入れる文化があるのか、新しい技術に対するポジティブな姿勢を感じています。この姿勢は長い時間をかけて培われてきたものであると思いますし、今後の自治体経営においてもその重要性は増すと思います。
それから予想以上だったのが、職員が一致団結してやっていこうという意識の高さです。
テレビの見過ぎかもしれませんが、市長の考えに対して職員内で「それは無茶では……」と意見が出るところもあると思います。
しかし私が関わる職員には、「選挙で選ばれた市長の意見は市民の意見を反映しているんだ」ということでそれを実際にやっていこうという雰囲気があり、その真摯な姿勢に驚きました。
ーー市役所での任期も丸2年を迎えますが、今どのような心境ですか。
着任して以来、色んな部署の職員からいつも温かいご支援をいただいていることに感謝しています。「市民の利益になるものはやる」という職員の皆さんの気持ちに後押しを受けています。
引き続き、裾野市から全国の自治体を牽引する事例が出ることを期待するとともに、その支援ができれば幸いです。
ーーありがとうございました。
あいおいニッセイ同和損害保険(株)との連携で、裾野市の課題を解決していく
鈴木さんの派遣によって、あいおいニッセイ同和損害保険(株)の持つデータ・デジタル技術が、市の環境保全や、交通事故の防止、橋梁点検のサポートといった取り組みに活かされるようになりました。
現在、市が抱える多様で複雑な課題を解決するにあたり、あいおいニッセイ同和損害保険(株)をはじめとする民間企業が持つ知見やノウハウは非常に大きな力となります。
裾野市の課題を解決して「人と企業に選ばれるまち」を目指す公民連携は、これからも続きます。
この記事を書いた人
■安倍健
情報発信課1年目の新人広報職員です。