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【DX Front Line】みんながデジタルという手段を選べるように

DX front lineとは?
デジタルを活用して「日本一市民目線の市役所」を目指す、裾野市のDXの取り組みについてご紹介します。


今回のDX Front Lineは、デジタル・ディバイドについて取り上げます。

デジタル・ディバイドとは

近年耳にする機会が増えてきた「デジタル・ディバイド」という言葉ですが、通常は「情報格差」と訳されます。

意味合いとしては、デジタル(主にインターネット)の恩恵を受けることができる人と、できない人との間に生まれる差を表す言葉です。

スマホやパソコンの所持、デジタルの活用は強要されるものではありませんので、各家庭の事情や判断で、デジタルの活用状況は人それぞれになるわけです。

それでも、効率的で利便性の高いデジタルの活用は、今後も社会全体で進んでいき、社会全体のデジタル化が進めば進むほど、デジタルを使う人とそうでない人との差もより大きなものになっていってしまうため、「デジタル・ディバイド」は社会全体の課題となっています。

アナログとデジタルの差とは

アナログとデジタルの差ってどんなことがあるでしょうか。

例えば、これは昨年(令和5年)6月下旬の私の仕事の話です。

「8月4日に統計調査の研修会を開くため、出欠回答をしてください」という依頼文を対象の市民32人に通知し、出欠確認をしました。

対象の32人には、市からの連絡を【郵送(アナログ)】【電子メール(デジタル)】のどちらで受け取るかを事前に確認済で、ちょうど半分の16人が郵送希望、もう16人が電子メール希望でした。

まずは、通知までの下準備です。

左側が【郵送(アナログ)】、右側が【電子メール(デジタル)】の流れです。

アナログとデジタルの差(通知までの下準備)

郵送の場合、封筒を1通作るのに1分程度は必要です。対象が10人で10分、100人なら100分必要です。電子メールなら対象が何人であっても変わらないため、効率的ということです。

次に、通知発送後の動きです。

アナログとデジタルの差(通知発送から回答まで)

結果として、私と対象者との意思疎通に要した最短時間は、アナログでは7,130分デジタルでは40分という結果になりました。

ここでのデジタルの恩恵は、

  • 早さ:私がメール送信ボタンを押したら、1分後には対象者が内容を確認できます。

  • 価格:切手代等、郵送費用が発生しませんので安く済みます。

  • 効率:単純労務を省略できるため、空いた時間を他の市民サービスに利用できます。

と、身近で些細な作業ですが、デジタルの恩恵は非常に大きいです。

デジタルを活用することで受けられる恩恵

これからも利便性や効率化の観点で社会全体のデジタル化が加速します。
裾野市の行政サービスもデジタルの積極活用を図っていきます。

しかし、私たちの目的は「便利なデジタル行政サービスを作ること」ではなく、「便利なデジタル行政サービスを市民に利用してもらうこと」であり、それにより市民満足度を向上させていくことにあります。

そのためにもデジタル・ディバイドは当市においても重要な課題です。

年代から見る現在の状況

では、次に裾野市の状況を確認してみます。

令和5年度に実施した市民意識調査の回答状況は次のとおりです。
回答方法は、紙に手書きで回答し、返信用封筒で郵送回答する方法か、インターネットで回答する方法か、好きな方を選べるようになっています。

令和5年度市民意識調査 回答比率

10~30歳代はインターネット回答が多く40歳代が郵送回答とインターネット回答が半々くらいです。
50歳代以上から郵送による回答が多くなり、70歳代以上になると90%以上が郵送回答です。

裾野市でもやはり世代間でデジタル・ディバイドの問題がありそうです。

これは全国的な傾向と同じで、40歳代くらいからがちょうど、デジタルネイティブといわれる学生時代くらいからパソコンなどを活用し始めた世代のため、このような分布になります。

このままでは、50歳代以上を対象とする行政サービスをデジタル化しても需要がないことになります

でも、少子高齢化社会ですので、人口の多い年代を効率化した方が費用対効果は高いですよね。

年代的な特色はありますが、これまでデジタルを活用したことがなかった人も、デジタルを活用してもらうことで、市役所に行かなくてよくなる、待ち時間が短くなるなどのメリットを感じることができれば、どんどん活用していってほしいというのが私たちの思いです。

今後も利便性の高いデジタル行政サービスは増えていきますが、そのサービス利用の入口となるのはスマホやパソコンが主体になります。
スマホやパソコンを利用することが身近になれば、デジタル化やオンライン化されたサービスの便利さを感じてもらえるようになると思います。

裾野市の取り組み

令和5年度のデジタル部の取組みは、「スマホ体験教室」で、スマホ未所持の人や持っているけどあまり使っていないといった人を対象に、スマホ操作を体験してもらったり、便利な機能を知ってもらったりする教室を7回開催しました。

加えて、「デジタルに関する出前講座」で行政サービスのデジタル化の有用性等の説明をする講座を2回開催しました。

「スマホ体験教室」は、市役所内の横の広がりもあり、生涯学習課でも4回開催しました。

興味を持っていただける人がいてこその開催なので、ありがたい限りです。参加者の皆さん、ありがとうございました。

皆さん楽しそうでした^^

そこで感じたことは、予約が埋まるくらい需要があるということと、多くの人がアナログにこだわっているわけでもなければ、デジタルを諦めているわけでもないことです。

単純に今日まで知る機会がなかったことや、知らないから煩わしさを感じるなど、機会があればデジタル活用を視野に入れたいという人が多い印象を受けました。

「もっと身近で教えてもらえたらなぁ」

そんな声もいただきました。

近年のスマホ普及率の高さは目を見張るものがあり、ある意味「みんなが持っている」に近い状況なのに、「身近に教えてくれる人がいない」ところにこの問題の難しさを感じています。

かつての社会は年配の人ほど知識が豊富であり、何かの教えは年長者から若年層へ一方通行が主流でした。

インターネットの普及により、知識や情報は無限とも言える広がりを見せ、個人の持つ知識や情報がより専門的に特化していった結果、特定の分野において、必ずしも年長者が詳しいとは限らない社会になっています。

上で紹介した市民意識調査の回答状況から、裾野市でも若年層ほどデジタルに明るい傾向がありそうですよね。

ちょっと話が遠回りになりましたが、この記事を読んでくださっている人は、デジタルに抵抗のない人がほとんどだと思います。

もしかしたら親族、友人、知人等、身近にちょっとした操作を教えてもらいたいと感じている人がいるかもしれません。

行政としてもデジタル・ディバイド解消に向けた取組みを模索していきますが、今年度のスマホ体験教室であれば、一回の開催で最大20人程度……

公助の取り組みだけではデジタル・ディバイドの解消には足りないかもしれません。

この記事を読んでくださったデジタル推進を歓迎してくださる皆さん、

「裾野市は最近◯◯のオンライン手続き始めたよ。簡単だから一緒にやってあげるよ」

といった共助の一声が裾野市のDX Front Line(最前線)を推し進める手助けになります。
ご理解とご協力をお願いしたいと思います。

様々な手続きや申請がオンラインで可能です

あれ?。記事を書いているうちに依頼文になってしまいました(笑)

ちょっと話が拡散してしまいましたが、今回はデジタル・ディバイドに関する内容と、それに対する市の取組紹介でした。

今後も単なるデジタル化ではなく、市民目線で多くの人に便利に利用していただく方法も含めたDXを進めていきますので、よろしくお願いします。


この記事を書いた人

■山田隆蔵
業務改革課に所属しています。
市民の利便性向上と職員の業務効率化を同時に進め市民も職員も幸せな市役所を目指しています。


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